top of page
プロフィール
専門は森林生態学・生態系生態学・生物地球化学です。
主に森林をフィールドとして、土壌中の窒素動態や微生物・植物との関わりに興味をもって研究を進めてきました。
現在は鳥取大学乾燥地研究センターで乾燥・再湿潤のサイクルが微生物や物質循環にもたらす影響を調べています。
また、遂行中の科研費では樹木の根滲出物に関する研究を行っています。
写真はネパールにいたころ(20歳)のものです。今はずいぶんと横に大きくなりました。
研究の背景
窒素は植物の生育に欠かせない元素です。森林土壌中には植物が一年で吸収する何十倍もの窒素が蓄積されています。しかし、この窒素の大部分は有機物中に高分子量の有機態窒素として存在するものであり、植物は直接使うことができません。そのため、多くの森林では植物にとって利用可能な窒素の量が一次生産を制限する要因となっています。
有機物中の高分子量有機態窒素は微生物が有機物を分解する中で、低分子量の有機態窒素となります。これには例えばアミノ酸等が含まれていて、一部の植物は共生する微生物の働きも借りつつ利用することができます。また、低分子量の有機態窒素は無機化という作用を受け、アンモニウム態窒素と呼ばれる無機態の窒素に転換されます。さらに一部のアンモニウム態窒素は硝化と呼ばれる作用を受け、硝酸態窒素へと転換されます。植物は無機態の窒素も吸収できます。
土壌の多くは負に帯電しており、負電荷を帯びる硝酸態窒素は正電荷のアンモニウム態窒素に比べて土壌に吸着しづらく、川や地下水に流出しやすいことが知られています。過剰に硝酸が流出すると、水質汚濁が起きたりします。また、硝酸態窒素はさらに脱窒という作用を受けて窒素ガスとなり、大気へと放出されますが、脱窒の過程では二酸化炭素の約300倍もの温室効果がある一酸化二窒素も作られ、大気へ放出されます。そのため、森林の窒素循環を理解することは一次生産だけではなく、河川水質保全や地球温暖化対策の観点からも重要です。
植物は単に窒素を吸収するだけではなく、根から根滲出物と呼ばれる化合物を出して微生物の活性を高めたり、菌根菌と呼ばれる共生真菌と共生したりすることで、根っこの周りをとって好ましい環境に変え、窒素を吸収しやすいようにしています。私の研究では特に、根っこと微生物、そして窒素循環の関りというところに焦点を当てています。
bottom of page